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群発頭痛と保険診療について


群発頭痛は、有病率が10万人あたり50−400人程度(0.05-0.4%)と報告されています。片頭痛の日本での有病率が8.4%ですので、かなり稀な疾患です。発症年齢は20-40歳代で、男性の方が女性より3-7倍多いと言われています。発作と寛解を繰り返すのですが、発作は定期的にやってきたり、アルコールやヒスタミン、ニトログリセリンで誘発されます。頭痛が起きると、数週〜数ヶ月は群発します(期間は7〜365日で、通常は2週〜3ヶ月)。寛解期は1ヶ月以上とされています。夜間から睡眠中に発作が起こりやすいです。繰り返しやすいとは言え、約25%は単回で終わり、2回目は3年以内に83%が経験するとの報告があります。群発頭痛は、片側の目や側頭部の痛みで、同側の結膜充血や流涙、鼻閉または鼻漏、発汗、縮瞳または眼瞼下垂、眼瞼浮腫などを伴うことがあります。

 

このように痛みが強く、持続するのが群発頭痛なのですが、マイナーな疾患であるため、診断がつかずに、色々な医療機関を巡って、ようやく診断が付く場合が多いです。さらに問題なのは、保険上で適応となっている薬剤はイミグラン注射しかありません。実際には、片頭痛で使用されるトリプタン製剤の点鼻や内服も有効ですが、残念ながら保険適応になっていません。一応、予防薬もあるにはありますが、こちらも保険適応にはなっていません。片頭痛に比べると痛みが強く、不眠にもなります。イミグラン注射は即効性はありますが、数時間で効果がなくなります。毎日通院される方もいますが、夜間や土日などの医療機関が休みの時には保険で使用できる治療薬が無いのが実情です。細かいことですが、保険適応外でも症状詳記というものを添付すれば使用が保険でも認められることがありますが、不確定です。もし、保険での使用が認められない場合、全てそれは医療機関側が負担することになります。大変残念ながら、当院に通院されている患者さんで、このことが起きてしまいました。保険者に事情を説明しましたが、結果は変わりませんでした。トリプタン製剤はジェネリックができて安くはなったとはいえ、群発頭痛では使用量が多いため、それなりの額を当院が負担することになりました。

 

以上から、とても心苦しいのですが、今後、当院で群発頭痛の治療を希望される方は、自費診療でお受けすることにしました。皆様のご理解を頂ければ、幸いに存じます。また、いつか群発頭痛の治療薬や予防薬の保険適応が早期に実現することを心から願っています。