· 

アトピー性皮膚炎は保湿とケアが大切!


アトピー性皮膚炎(以下、アトピー)は乾燥とかゆみを伴う慢性の皮膚炎です。原因はまだはっきり分かっていません。子供の頃に発症しやすく、治りきらずに大人でも治療が必要な人もいます。先進国に多いと言われています。アトピーの人は、食物アレルギー、花粉症、喘息などの他のアレルギーに関する病気も持っていることが多いと言われています。

 

治療は、炎症を抑える成分のステロイドが入った塗り薬と保湿剤による外用薬の治療が中心です。

 まず、ステロイドは部位や炎症の程度に応じて、強さを使い分ける必要があります。正しい強さで正しい量を正しい方法で塗らないと、副作用やリバウンド(=また悪化すること)を起こします。

 次に、保湿剤はできるだけ添加物が少ない物を選び、それをたっぷり使った方がよいです。当院では1〜3種類を使い分けています。外用薬全般に言えることですが、軟膏の方がクリームやローションよりも刺激性が少ないため、当院では軟膏をオススメしています。ただし、軟膏はべたつき感が強いため、どうしてもべたつき感が苦手な方にはクリームでも処方しています。

 内服治療は、かゆみが強い場合には花粉症でも使う抗ヒスタミン薬を一時的に併用します。当院では、抗ヒスタミン薬以外に、漢方薬も併用することがあります。重症な方には光線療法や免疫抑制剤の内服・点滴治療もありますが、当院では実施していません。

 

スキンケアについては、以下のことを指導しています(保湿剤とスキンケアでもかなり病状は変わってきます。ステロイドだけではあまり良くなりません。)。

  1. 涼しく湿度がある環境にする
  2. かゆい時はかかず(かじらず)に冷やす
  3. 入浴時の温度は高くしない、長湯もしない
  4. ボディソープは保湿剤入りのを手で控えめにつける

 

アトピーの炎症が長引くと、皮膚は色素沈着を起こして、次第に黒ずんできます。カサカサと乾燥して、粉が吹いてしまい、赤みが目立つ肌になることもあります。早めに治療を開始して、最低でも悪くならないようにコントロールした方がよいでしょう。上記のステロイド治療は、皮膚がきれいになった後も、2ヶ月程度の維持療法をした方がよいとされています。維持療法に入るまでは2〜3ヶ月程度です。維持療法後も、保湿剤の使用だけはオススメしています。時間は多少かかりますが、アトピーはきちんと治療すれば良くなりますし、コントロールできる病気です。

 

最後に、ステロイドに対する嫌悪感から、ステロイドなしでの治療を希望される方もいます。できる範囲で対応していますが、なかなか良くなりません。ステロイドを正しく使用した方が早く良くなると思いますので、不安な点などが解消されるように努めています。