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A型肝炎はワクチンで予防した方がよいか?


A型肝炎は肝炎ウィルスのひとつで、肝炎を引き起こして、40度ほどの高熱、肝機能異常、黄疸が出現します。時には死に至ることもある病気です。診断はIgM-HA抗体という抗体を測定して判断しますが、感染初期では 5%程度が偽陰性になってしまうこともあり、疑わしいときには再検査をする必要があります。

 

A型肝炎はもともと魚介類など食品媒介感染症として考えられてきましたが、最近では欧米や日本では同性間の性感染症としても増加してきています。このような流行はA型肝炎ウィルスに対する抗体保有率の減少が背景にあるとされています。A型肝炎は発展途上国ではいまだに蔓延していますが、上下水道の整備により感染者は激減し、日本では60歳未満の抗体保有率がほぼゼロとされています。抗体保有率の減少が、A型肝炎ウィルスの感染を容易に広めやすくなっています。また、肝炎症状が消失したあとに、1-2ヶ月はウィルスの排出が続くとされているので良くなった後も注意が必要です。

 

A型肝炎を発症した場合には有効な治療法はありません。基本的にワクチンで100%防げる病気であり、流行している東南アジアなどの発展途上国に旅行に行く方、性感染症を心配される方、重症化しやすいと言われている免疫抑制剤などを使用している方はワクチン接種が勧められます。ワクチンは、国産ワクチンですと、概ね半年間に3回の接種が必要になります。当院ではA型肝炎ワクチンの取り扱いをしていますので、気になる方はお気軽にご相談ください。