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一番印象に残っている患者さん その①


今回は私が一番印象に残っている患者さんを個人情報に触れない範囲で、ご紹介したいと思います。正直、これまで多くの患者さんの診療をしてきましたが、意外に印象に残っている方はそれほど多くはありません。

 

私が医師3年目に後期研修医として、茨城県つくば市の病院で働いていた時のことです。すでに入院していた患者さんを、私が前の担当医から引き継ぎました。アルツハイマー型認知症があり、誤嚥性肺炎で入院されていた高齢の男性でした。

 

当時の私は誤嚥性肺炎の患者さんを診た経験が乏しかったのですが、治療そのものよりも、その家族の関わりが未だに忘れられません。入院されていたご本人は認知症のために意思疎通ができない状況でした。いつもと言ってよいほど、ベッドのそばには上品な高齢の奥様が座っておられました。私の担当患者は数名から10名前後でしたが、家族がほぼ常に付き添っていた患者さんは他にいませんでした。奥様はいつも朝や夕方の担当医や主治医らのグループ回診にも立会っていました。

 

ある日、私が日中に訪問した時に、何気なく奥様と会話することがありました。奥様は私にこう言ったのです。

 ーその②へ続くー