奥様「この人はね、まだしっかりしていた時に私に、「僕の記憶から君はいなくなってしまうかもしれないけれど、僕の心の中には君はずっといるからね。」と言ってくれたのです。」
この言葉を聞いて、私は泣きそうになりました。とても診察するような状況ではありませんでした。自分の行く末を正面から受け止めながら、それでも自分の妻に愛を伝える姿勢に私は感動したように思えます。なんて美しい言葉なのでしょう。私は奥様がいつもそばにいる理由が分かった気がしました。
この患者さんは、抗生剤治療の甲斐もあって病状も改善し、しばらくして退院されましたが、その後はどうなったのか分かりません。夫婦お二人の愛を感じた症例でした。